特集:日本美術史再考――江戸の美術はどのように語られてきたか
学問としての美術史が誕生した明治時代、江戸時代の美術をどのようなパラダイムで語ってきたかを解明し、さらにそれに依拠してきた美術史家の美術=政治的意図を解明する。(まとめ=岸 文和)
- 江戸狩野批判の真相(並木誠士)
- 狩野永岳はなぜ無視されたのか――幕末京狩野の盛衰(中谷伸生)
- 神話なき神話――「絵所預土佐光起」の遍歴(実方葉子)
- 琳派なんて、本当にあったのか? (安村敏信)
- 『光琳派画集』の前後――尾形光琳を中心とする近代「琳派」観をめぐって(安田篤生)
- 「文人画」の指し示すもの(田島達也)
- 「長崎派」考(黒川修一)
- 若冲という事件(佐藤康宏)
- 大阪の憂鬱/軽視された“美術都市”――近世大坂画壇研究に思う(橋爪節也)
- 美術史中無尽蔵。男性有り、女性有り…(パトリシア・フィスター)
- 司馬江漢のアナモルフォーズ――洋画史の外へ(島本 浣)
- 写楽はどのように語られてきたか――日本美術史と浮世絵師イメージ(岸 文和)
- アンリ・フォシヨンの浮世絵解釈とジャポニスム以後の日本美術史編纂(藤原貞朗)
- 康知と円空(根立研介)
- 日本彫刻史における江戸時代の仏像彫刻(張 洋一)
- 独り歩きする蒔絵師伝と蒔絵銘――江戸時代蒔絵研究の問題点(土井久美子)
- 「女のきもの」は「江戸の美術」か?(森 理恵)
- 江戸時代は江戸時代(狩野博幸)
- 想像の「江戸」と帝国の美術史(鈴木廣之)
- 江戸後期の「美術制度」――十九世紀美術史のために(ヘンリー・スミス/佐藤守弘訳)
〈創刊に当って〉源 豊宗
〈発刊の辞〉原田平作
〈資料紹介〉
- 大阪天満宮の「天神画像」(松浦 清)
- 泉屋博古館蔵《扇面散・農村風俗図屏風》(並木誠士)
- 田中日華《韃靼人狩猟図屏風》(中谷伸生)
- 横山清暉《蘭亭曲水・舟遊図屏風》(中谷伸生)
- 富岡鉄斎《巌栖谷飲図》(中谷伸生)
- 円山応挙《雪松図屏風》とその系譜(木村重圭)
〈美術随想〉
〈トピックス〉
- 「日本の美学」の形成――フェノロサから天心へ(神林恒道)
- 美術館博物館の現状と問題点(原田平作)
- ヴィトラ・デザイン・ミュージアム(藤田治彦)
- デザイン論のいま(宮島久雄)
- 美術マーケットのいま? (山岡泰造)
〈展覧会評〉
- 森村泰昌「空想美術館」――絵画になった私(太田喬夫)
- 京の絵師は百花繚乱――『平安人物誌』にみる江戸時代の京都画壇(松浦 清)
- 王朝の仏画と儀礼――善をつくし美をつくす(山岡泰造)
- 和の意匠――新たなモティーフ・大胆なデザイン(並木誠士)
〈書評〉
- 円山應擧研究(太田孝彦)
- 感性の思考――美的リアリティの変容(大森淳史)
- 日本絵画の風景表現――原始から幕末まで(永田雄次郎)
- スタンツェ――西洋文化における言葉とイメージ(森谷宇一)
〈現代作家紹介〉
- 自写像を通して“生”の深淵へ――小谷康子の世界(中島徳博)
- 「私絵画」――坂井淑恵の作品(尾崎佐智子)
- 田村潤悟の彫刻(藤枝晃雄)
- 安喜万佐子――「見ること」の時間性/「絵画」への意志(川田都樹子)