特集:美術批評の歴史と現在
T「美学芸術学の地平より」、U「フォーマリズム再考の見地から」、V「各国の美術批評史から」の3部に分け、フォーマリズムが美術に果たしてきた役割とこれからを考察する。(まとめ=藤枝晃雄、神林恒道)
T――美学芸術学の地平より
- 「フォーマリズム」の美学と芸術論(神林恒道)
- H.ヴェルフリンの像記述――「同一性」の記述から「差異性」の記述へ(井面信行)
- イギリスのモダニズムの成立期をめぐる記述について――チャールズ・ハリソンの場合(潮江宏三)
- 形象・記述・言語――絵画を「語る」ことの可能性にむけて(三木順子)
- フォーマリズムとは何か――その分類と展開(リチャード・ウォルハイム/金悠美訳)
U――フォーマリズム再考の見地から
- 絶対的な外在性(松浦寿夫)
- コスース以後――続・これから(も)描く/観るための断章(上田高弘)
- 傾向・技術・形式――現代日本美術の場合(藤枝晃雄)
- アレゴリーについてのノート(尾崎信一郎)
- もうひとつのマテリアリズム――サマーズによる美術史記述の問題としてのフォーマリズム批判(鈴木真理子)
- ロザリンド・クラウスとフォーマリズム・イデオロギー(平芳幸浩)
- 美術における自己言及性について(谷川 渥)
V――「各国の美術批評史から」
- マイヤー・グレーフェとドイツの近代美術批評――フォーマリズム批評の先駆者あるいは近代の古典主義者(太田喬夫)
- ヴィル・グローマンの戦後と現代ドイツ美術批評――モデルネからアイデンティティ問題へ(仲間裕子)
- 現代フランスの芸術批評――「現代芸術の危機」論争(上倉庸敬)
- 美術批評の現況――フランス(岡部あおみ)
- 白樺派とブルームズベリー・グループ(川田都樹子)
- 新聞と美術批評(安黒正流)
〈資料紹介〉
- 徳井寛二氏の日本美術里帰りコレクション(原田平作)
- ウィリアム・ブレイク《夜想》銅板画集〈京都市立芸術大学芸術資料館蔵〉(潮江宏三)
- ケルムスコット・プレス刊本コレクション〈大阪芸術大学図書館蔵〉(藪 享)
〈美術随想〉
〈トピックス〉
- 北斎とジャポニズム(稲賀繁美)
- 直島会議−V「アートはコミュニティに投げかける」に参加して(太田喬夫)
- 「美学」は「批評」にとって有効か――明治美学史のひとこま(神林恒道)
- ロンドンのデザイン・ミュージアム(藤田治彦)
- シアトル美術館の日本画展(森岡三千代)
- 絵の中の二十世紀(吉村良夫)
〈展覧会評〉
- 大ザビエル展(中村俊春)
- 東アジア/絵画の近代――油絵の誕生とその展開(岡本重温)
- クシュシトフ・ウディチコ展(加須屋明子)
- 花洛のモード きものの時代(森 理恵)
- ラファエル・コラン――寓意と外光表現(六人部昭典)
〈書評〉
- マンガ表現論としてのスコット・マクラウド著・画『マンガ学』――『マンガの読み方との比較を中心に』(ジャクリーヌ・ベルント)
- ポピュラー芸術の美学――プラグマティズムの立場から(青木孝夫)
〈現代作家紹介〉
- 押江千衣子の匂い立つ絵画(潮江宏三)
- 中ハシ克シゲ――「中ハシ克シゲ展−あなたの時代」より(吉岡 洋)
- 陶芸の二十一世紀――長谷川直人の作陶について(岩城見一)
- 漆の作家・番浦鴻蔵(米澤有恒)