特集:海外から日本の美術を見る。
明治以降、海外における日本美術のコレクション同様、その研究も次第に深められるようになり、今日ますます盛んになりつつあるようにみえる。日本人とは異なる視点から日本美術を追究する場合が多く、それだけに興味深い研究が多い。本特集はアメリカ、イギリス、フランス、オランダ、ドイツ、デンマーク、イタリア、オーストラリアなどの研究者による22篇の論文を掲載している。(まとめ=原田平作)
- 日本美術における自然観の一面――風・雨・日・月のイメージ(フランソワ・ベルティエ)
- 山千寺観音菩薩像と白鳳童形彫刻の問題(ドナルド・マッカラム)
- 近江の眺め――滋賀県立近代美術館蔵《近江名所図屏風》における地勢と政治の想像力(マシュー・マッケルウェイ)
- 巡歴の画家 狩野探幽(カレン・ゲーハート/原田平作訳)
- 東福門院和子 その人生と美術嗜好(エリザベス・リレホイ/大木貞子訳)
- オランダにおける日本コレクションの成立と展開(マティ・フォラー/松本直子訳)
- サミュエル・ピープスのガウン(タイモン・スクリーチ/中間志織訳)
- 「古典主義」とカノン形成――17世紀日本絵画についての美術史言説(メラニー・トレーデ/高松麻里訳)
- 近年の曽我蕭白研究(マニー・ヒックマン/原田平作訳)
- キオッソーネ美術館所蔵、岸駒の小下図について(ジョバンニ・ペテルノッリ/青山愛訳)
- モネと日本――浮世絵と日本およびヨーロッパの風景画に見られる伝統的空間の変様(ギャリー・ヒッキー/原田平作訳)
- 過去の理念――デンマーク美術におけるジャポニスム(グンヒル・ボーグレーン/冨田千恵子訳)
- 茶の湯と蒐集(クリスティーン・グーテ/富井玲子訳)
- 英国ヴィクトリア時代の日本陶磁器蒐集――A・W・フランクス、蜷川式胤と大英博物館(ニコル・ルマニエール/有地芽浬訳)
- 理想主義のリアリズムとの遭遇――日本における西洋美術の摂取(ドリス・クロワッサン/長瀬真理訳)
- 19世紀から20世紀にかけてのアメリカにおける日本美術研究(中根和子)
- 日本における商業デザイン史とその研究(ジェニファー・ワイゼンフェルド/五十殿ひろ美訳)
- 近代日本美術における表層的・潜行的モニュメント(ジョン・クラーク/高屋敷真人訳)
- ドイツから見た「ネオ・ポップ」と日本美術史の学(ジャクリーヌ・ベルント)
- 日本美術概説講義の現状(サミュエル・モース/岡村知子訳)
- 米国の大学と日本美術研究――島田修二郎先生の渡米の意義(清水義明)
〈美術随想〉
- 日本美術における木村蒹葭堂の存在――18世紀の大阪の文化との関係(ジョン・ローゼンフィールド/織田より翻訳補助)
〈書評〉
〈資料紹介〉
- 近頃日本に来た・来ている・来るアメリカの日本美術コレクション――クラーク・コレクションを中心に(原田平作
〈トピックス〉
- 「大阪トリエンナーレ」1990−2001報告(中塚宏行)
- 「横浜トリエンナーレ2001」報告(建畠 晢)
- 「第十五回国際美学会議」と「アジア芸術学会」からの報告(神林恒道)
〈現代作家紹介〉
- 「イエス ヨーコ・オノ」(アレクサンドラ・モンロー/三輪健仁訳)
- 「単純さ」を理解する――ケンブリッジでの菅木志雄(サイモン・グルーム/三輪健仁訳)
- お好きなものにはご用心!――トレーシー・モファットの芸術(ジュディ・アニア/三輪健仁訳)